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2011-10-26

SS[キリエ」下



結局エロじゃなくてニヤニヤ小説。フェチを求めている人には読むだけ損な時間になってしまうかも。
ニヤニヤ(*´∀`*) っていうか全然エロじゃない。ニヤニヤ小説やー。
ホント、フェチエロ目的の方は見てもしょうがないです。
イラスト:蛭田博士(ひるたひろし)
kikuti1

「とりあえずパンチの打ち方は知らないけど打つよっ!」
思うがままにキリエはパンチを放った。
菊池もボクシングの事をよく知らず、ガードや避ける方法を知らずに
左頬へ思い切りパンチを食らった。
唾液がぶじゅっと吐き出されるが、マウスピースは吐かずに、ただ
それを口からもっこりと盛り上げるだけだった。

「こんのっ!」
菊池はキリエのボディへ(背が低いので)ストレートぎみにパンチを打った。
どぼっ!
それも見事に決まり、キリエのボディへ菊池の拳がめり込んだ。
「かはっ!」
kikuti2

素人同士の打ち合いが続く。ボクシングというよりほとんど喧嘩だった。
馬鹿の一つ覚えのように同じような展開が続く。
キリエのフック、菊池のボディ。打ち合いはしばらく続いた。

(菊池さんのボディは確かに苦しいけど、どうやら耐えれそうね)
確かにキリエの方が優勢だった。フックは確実に菊池へダメージを蓄積させている。
ボディは苦しいが、数回目からは打たれた瞬間に腹筋に力を入れる事によって
ダメージをある程度防げるとも気がついた。

ぐしゃっ! どすっ! ぐしゃっ! どすっ!

しばらく続いていたが

ぐっしゃぁぁぁ!

キリエは適当にアッパーというものを打ってみたが、これが見事に決まった。
「んぶほっ!」
菊池がマウスピースを宙に吐き出した。
kikuti3

ぼとん、ぼとんぼとんぼとん……ぼとん。
マウスピースが何度か跳ねてそのままころころと転がって、動きをとめた。
そのマウスピースは何ともむなしい佇まいに見える。
所詮素人でお互いルールも技も何も知らない同士の試合、見よう見まねのアッパーで決まってもおかしくはない。
何故かというと、こういうパターンでアッパーを打つなどセオリーすらお互い知らないのだから
下から突き上げるアッパー等、飛んでくるとは思っていなかった。
どすんっ!
菊池が腰からマットの上へ落ちた。
「げほっ、げほっ!」
そのまま菊池はむせる。

「はいワーン! ツー!」
キリエがカウントを始める。
「あ、足がガクガクして立てない!」
菊池は叫ぶがカウントが進む。

「テン!」
カウントテンだ。
「だから、お互い立てなくなるまでやろうって……」
菊池はそう言うが、キリエは首を左右に振った。
「怪我せずに穏便に済ますにはこれしかないんだよ。それにテンカウントは正式なルールだ。
 これで自分の負けを認めなさい、菊池さん」

「……だっ。たから何でも良かったんだ、負けても買っても本当は良かったんだ」
「え? じゃあ菊池さん、何でボクシングなんかを? 喧嘩を売る事なんてしたの?」

「そ、それは……」
「それは?」


「キリエ、お前が……本当に好きだからだっ!」
「え、えぇー?」
「お前が愛おしい。変態と言われるかもしれないがずっとお前を見ていた。ずっと見ていた。いつかお前に
抱きしめられはしないかとずっと妄想していた」
「菊池さん? えーと、ずっと私を見てたって……」
「そうだよっ! 私はレズだ。女なのに女しか愛せない。それに好きな女性にまわりくどい悪戯なんかやって
気を引こうと思っていた駄目人間だ、うわぁぁぁぁぁあ」
菊池は声をあげて泣き出した。
kikuti4


「菊池さん……その気持ち……受け止められるかどうかは分からないけど」
「ん?」
「キスなら私が奪ってあげる」
「えっ?」
菊池が気を動転させて、なすがままにしているといつの間にかキスの状態になっていた。
「んっ」
kirie5

お互いに舌を動かして絡みつくような濃厚なキスをする。
どちらかといえば、キリエの方が積極的に舌を絡めてくる。
くちゅくちゅと音が部室に響きわたる。
菊池にとっては夢のようだった。この恋いは実ったのだろうか。
しばらく舌同士で攻防戦をクチュクチュと繰り返した後、唇をお互いに離すと
菊池はもうメロメロになっており、テンションが異常だった。

「酒、酒だ!」
バッグから菊池はビールを取り出した。
「飲もう。飲んでメロメロになっちゃおう」
「見つかったら退学かな? 頂きます」
「飲んで飲んで。今日は記念すべき日だ」
「うん、なんかさ、菊池さんの事。受け入れられるような気がするんだ」
「そうか……こんな根暗でも気に留めておいてくれるか?」
「もちろん!」

「うっ、うっうっうっ」
菊池は肩を揺らせて泣いている。
何となくしんみり、それでいて酒の力で少し陽気な微妙な空間がそこにはあった。

アルコールが抜けた頃に二人はそれぞれ家に帰ることになった。

次の日、菊池は学校へ行くのが怖かった。
昨日したキリエとのディープキスが頭にグルグルまわっている。

「あ、菊池さーん、今日の放課後、いっしょにカラオケに行かない?」
kikuti5


「え? あ、いや。私が行っても楽しく無いだろう」
「そうかなぁ? ところでさ」
「ん?」
「私アルコールが入ると相当物忘れが激しくなるんだけどさ、ボクシングの試合ってどうなったんだっけ?」
「いや、それはお前が……勝って」
「ふーん、私が勝ったんだ。よかったよかった。それ以外の記憶はスッポリ抜けてるけどね」
「え? えと、キス……」
「キス? 何の事?」



「忘れとるやんけーっ!」
菊池は叫んだ。だが何も変わるはずがない。キリエが全てを忘れているのは事実なのだから。
kikuti6

放課後になるとキリエのまわりに人が集まり、カラオケへ行こうという話で盛り上がっていた。
「いつもに逆戻りか」
そう呟いて菊池は教室を出ようとした。

「菊池さん! 得意な曲は何?」
背後からキリエの大きな声が聞こえた。

「あ、ああ。演歌中心だが……」

「演歌? ネタに来てもらおうよ」
「そうだよ、来てもらおうよ!」
女子達にどうやら演歌はウケたようだった。
「なんか菊池さん、喋りにくくて誘えなかったけど、今日来てくれない?」
女子の一人の言葉に
「あ、ああ」
と菊池は返事をするしか無かった。
だがそれと同時に孤独という二文字が遠のいていく感じがした。
友達になる、友達と遊ぶという事はこういう事だったのか。
「じ、じゃあコブシの効いた唄を披露しよう」
菊池はそう言ってその集団の元へ歩いていった。

(次はきっちり落としてやる)
菊池はそう思いながらキリエの目を見つめる。
「な、何? 菊池さん。ちょっと顔が怖い」
「こ、怖いか」
「ちょっと怖い」
「まあそれでいい」
「ん?」
「どうあがいても私は私だ。気にするな」
そう言って菊池は笑顔を見せた。
心の底から出た笑顔はその場を和ませ、皆を笑わせた。
なきがお


END

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