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2009-12-24

「うるど~思い出編」老婦人

出来るだけショートにまとめました。
「うるど~思い出編」老婦人

「俺は貧乏神の中でもランクが低いからよ、それで今にも潰れそうな
家とか、もうじき死ぬ病人とかよ、そういう場所によくまわされるんだよ」
家の掃除をしながら貧乏神は言った。
そこが見える部屋(床の間)に、老婦人は布団で寝ている。
「あなた掃除が上手ね、この体が動けなくて、ついついあなたにやってもらっちゃうの」
老婦人は、にこやかにそう言った。
「この家に憑いてから、毎日やらされてるよな、何で素直に掃除してるのか自分でも判らんな」
「やっぱり家を綺麗にしてから死にたいじゃありませんか」
「金あるんなら綺麗なマンションでも買え、俺が楽になる」
「そこまで貯金は無いわ」
「じゃあ老人の合コンにでも行って、ジジイフレンドでも連れてきてくれ」
「一生で一人って決めてるからねぇ・・・まだ生きていてくれたら少しは楽なんだけどねぇ」
「もう俺が来て三ヶ月位になるのか、俺も根気があるね、職業変えるって手もあるなぁ」
「あなた、背は高くてハンサムだけど、髪が茶色いからねぇ、ホテルマンは無理だわ」
「生まれつきだ」
「息子が生きていればねぇ・・・」
「事故で死んだ奴か、俺の周りに死の匂いがプンプンしやがる」
老婦人は右にあるガラス戸から外を眺める。
そしてその風景を見ながら言った。
「あなた、見返りに何かして欲しい事とか、欲しい物とか無いの?」
「して欲しい事はあるけどな」
貧乏神はそう言いながら床を磨いたゾウキンをバケツの水で洗う。
「して欲しい事?何かしらこんな婆さんに」老婦人が笑顔を見せる。
「俺が、良いって言うまで死ぬなよ!簡単な事だな」貧乏神も笑顔を見せる。
「あいたたたたた・・・」痛みイの発作が出たらしい。
老婦人は急に体をねじらせて痛みに耐える。
「痛みが来たか?待ってろ、モルヒネ打ってやる」
貧乏神はマントの中から注射器を取り出す。中身はもちろんモルヒネだ。
「ほーら打ったぞ、痛みはどうだい?」
「まだ痛いけど・・・我慢するわ」老婦人はそう言いながらも痛みで体をねじらせる。
「すまねぇが、これしか俺に出来る事は無いんだ・・・」残念そうに貧乏神が言う。

今日は老婦人は夕食はいらないと言ったので、貧乏神も食べない事にした。
そして安眠した所で何故か尿意が。
貧乏神トイレに行った。
(ばあさん寝てるのかな)貧乏神は様子を見に行った。
うめきながら布団の上で汗をかいている。
痛みが激しいようだ!急いでモルヒネを用意する。
「ばあさん、今モルヒネ打った、痛みはどうだ?」
「うううううっ・・・」痛みは全く軽減されていないようだ。
「もうモルヒネが効かねえ体になっちまってる」
貧乏神はただ老婦人の苦しがる姿を見ている事しか出来なかった。
「や・・・」
「何だ?婆さん、食いたいものでもあるのか?

「や・・・約束・・・貧乏神さん・・・が・・・良いって言うまで・・・」
「バ、バカか婆さん!あんな適当な約束なんて信じるなよ!」
「や・・・約束」

貧乏神は、自分が泣いている事に気づいた。
「婆さん、死んでくれ!もういいんだよ苦しまなくても・・・だから・・・死んでもいいんだ!」
「ありが・・・とう」
気力のみで生きていたのだろう。老婦人はすぐに亡くなった。
貧乏神は一晩中、老婦人の亡骸の横に座り込んでいた。。
朝だ。
貧乏神は、もうこの家に人がいないので他の家へまわされる事になった。
老婦人の家から出てしばらく歩くと、貧乏神は振り返った。
「婆さん・・・大したモンだ」

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